高圧水素ガス環境におけるSSRTおよび外圧疲労試験によるステンレス鋼の水素脆性評価

摘要

高圧水素ガス中における低ひずみ速度引張試験（SSRT）および鋼管状試験片を用いた内圧外圧疲労試験によりステンレス鋼を中心とした各種金属材料の水素環境脆化特性を評価し、以下の知見を得た。 SSRTでは、各種金属材料の脆化特性はひずみ誘起マルチンサイト（α'）相の生成で説明され、オーステナガト系ステンレス鋼ではオーステナイト組織の安定度が低い（Md_(30)が高い）ほど、また試験温度が低いほど多くのα'相が生成し、水素による絞りの低下が認められた。 外圧疲労試験では、SSRT試験と同様にα'相の生成し易い鋼種では水素による疲労寿命の低下が認められた。 また、析出強化オーステナイト系ステンレス鋼A286においても水素による寿命低下が認められた。 本研究はNEDO「水素社会構築共通基盤整備事業」プロジェクトにおいて実施した。