伊豆諸島（火山島群）に見られるササ類のフロラ的研究と分布の傾向

摘要

伊豆諸島は伊豆大島以南の主な七島すべてが、火山島として個別の歴史を刻んでいる（利島村, 1996) o諸島内に分布している植物は本土側の沿岸に自生するものと同一か、または変種程度に変 異したものも多く、過去に何度か訪れた氷期による海退により狭まった海を渡った植物が、島嶼の ニッチにおいて成り立ったものであるという（大場，1975)o気候的には黒潮の影響で温暖であり、 スダジィやタブノキなどからなる照葉樹林が主な植生となっており、亜熱帯性の植物も自生して いる。反面御蔵島山頂部などには本土における高標高地に産する種を見ることも出来（御蔵島村, 2006)、フォッサ、マダナ地域の中でもフロラの特殊性と言う点から大変興味深い地域である。