天然記念物「鳥屋野逆ダケの藪」の現況と保全

摘要

「枝垂れ」という形質は、シダレザクラ、シダレヤナギなど多くの樹種で知られている。 しかし、その形質が見られるのは、主に双子葉類に属している木本がほとんどであり、タケ類で枝垂れる現象が見られることは珍しい。 新潟市の西方寺境内の竹林には、枝が下方に向かって生える「逆ダケ」と呼ばれるタケが生えていることが古くから知られている。 この道ダケは、親鷲上人の伝説に由来し、1207年に越後に流された親鸞が当地に滞在した時に「我が教えが仏意にかなうなら、この杖から根が出て枝が逆さに出るであろう」と述べて、手に持っていた竹の杖を逆さまに地に挿したところ、そこから根が出て次第に繁茂し、逆ダケの薮ができたという。もちろん真偽のほどは明らかではないが、以来越後の七不思議の一つとして有名な存在である。 大正11年（1922年）には、「はちくノ竹薮ノ梓ヨリ出タル枝力往々下方二屈曲スルヲ特徴トス竹類こ硯ハレタル枝垂ノ碕態トシテ珍稀ナルモノニ属ス」（天然記念物指定説明）として、「鳥屋野道ダケの薮」という名称で天然記念物に指定されている。