十和田湖南岸域におけるチシマザサ一斉枯死後9年間のブナ実生個体群の動態

摘要

Watt（1948）が撹乱の重要性を提唱した複、1970年代には森林は局所的な破壊と再生を常に繰り返す動的生物群集として再認識されるようになった。 そして、現在までに、森林群落における楷乱の重要性が普遍的に認識されるようになった。 これに加えて近年、林床性植物の生活史特性に起因する植生構造の変動が、森林動態や樹種多様性に対する棺乱の効果に影響を与えることがわかってきた。 長い栄養成長段階を経た後、大面積にわたり一斉に開花、枯死するササは、撹乱後の樹木の更新過程を変化させる林床性植物の一つである。また、アジア各国や南動こ広く分布する夕ケ頬も同様に、大面積にわたり一斉に枯死するという特徴的な生活史を持っている。たとえば、中国の冷温帯Abges．良乙血混交林や、チリのNothofagus林、夕イの熱帯林などで、森林動態における夕ケ類の生活史サイクルと他の撹乱との相互作用の重要性について報告されている。その中でも、中国の冷温帯Abies-Betula混交秤や、チリのNothofagus林では、「撹乱」と「夕ケ類の生活史」および「樹木の生活史」との相互作用から、群落での樹種多様性が論じられている。