SEM／EDSによる竹炭のケイ素の分布について

摘要

竹は日本の代表的な植物で、様々な形で古くから利用され、孜々の生活に欠かせないものであった。 しかし戦後、生活様式の変化と工業の発達に合わせて竹は次第に利用されなくなり、古くからの竹のある暮らしは見られなくなっている。 そして現在、木の乱伐による環境破壊は世界規模で深刻な問題となり、放置された竹林は荒れて里山の生態系を破壊している。竹資源の利活用を見出すことは、環境破壊の防止にも貢献できると考えられる。 このような背景の中、最近特に注目を浴びている竹炭は多種多様な効能があるとして様々な商品が市場に販売されているが、竹炭の効能は経験，習慣に基づくものがほとんどで、科学的根拠が明らかにされたものは少ない。 これまで竹炭を食生活へ応用した研究として、福田，貝沼らはフライ油の熱酸化防止効果ヤ米飯の性状改善効果を報告しており、筆者らは竹炭の作用に大きく関わっていると考えられるミネラルに関して、その含量と溶解性について報告した封。竹のミネラルの中でケイ素（Si）は、イネ科植物で顕著に吸収、蓄積する元素として知られているが、他のミネラルに比べてその生理学的研究や役割に関する報告は少なく、あまり解明されていない。最近Motomura．らが夕ケ亜科に属するササの葉のSiについて研究し、走査型電子顕微鏡とエネルギー分散型Ⅹ線装置（SEM／EDS）を用いて、細胞によってSiの蓄積過程や状態が異なることを報告している。しかしながらこれまで竹の禅部分に関する同様の研究は見当たらない。 本研究では、年生と部位による細胞壁の形状とSiの蓄積状態の遠いについてSEM／EDSを用いて竹炭を観察し、そのSiの分布について調べた。