多店舗経営企業における効果的なVEの適用

摘要

当社は2020年4月現在、地元長崎市を中心に、九州圏内に4事業部門64店舗を展開している。組織形態は大きく本部と店舗に分かれ、チェーンストア理論から学んだ点を活かしながら多店舗経営を行っている。チェーンストア理論は、国民大衆の日常生活をより豊かにすることを目指し1960年代以降、小売業やサービス業の多店舗経営を目指す企業を中心に導入されていった。しかし、2000年代に入り、チェーンストア理論は次第に時代と合わなくなり、それだけを推し進めるのは、もはや眼界のところまで来ている。その原因として、作業の効率化や生産性を重視し過ぎるあまり、現場である店舗の創意工夫や臨機応変な対応を排除してしまっているためだと推察される。その結果、店舗で働く従業員は顧客主義を謳いながらも、実際は顧客満足よりも自分の作業を正確にこなすことを重視してしまっている。本稿では、多店舗経営企業である当社において、本部による効率化やブランド一貫性を図りながらも、店舗が顧客主義に徹し主体性を持って営業活動を行うための効果的なVEの適用方法を提案する。そして、その実践事例を交え、有効性について示す。