農業集落排水事業　集排協の活動から探る今後の展開方向 コスト縮減と並行し、事業推進に積極的な働きかけ進める

摘要

昭和58年度に農業集落排水事業が単独工種として制度化されて以来、昨年で20年が経過し、この間に約3900の集排施設が供用開始した。 今後はこれら施設の適切な維持管理が要求されるとともに、バイオマス・ニッポン総合戦略の推進に向け、集排施設が担うべき役割が多様化していくことも予想される。 だがその一方、地方財政の悪化や、市町村合併への検討などが進むことに伴い、新規地区の着手を控える動きが顕著となっている。 さらに、汚水整備構想の見直しにより、集合処理施設での整備予定地区を浄化槽での整備に計画変更する市町村も増加。 コスト縮減の成果とは言え、近年の集排事業予算の落ち込みも激しく、集排事業の先行きを不安視する向きも少なくない。 このような状況を打開するため、集排関係者の間では何らかの策を講じる必要があるとの考え方で一致しており、16年度からは集排事業のよりいっそうの推進に向けた、組織的な働きかけを積極的に進めていくことになりそうだ。 ここでは、集排事業のさまざまな課題の中からいくつかをピックアップして整理するとともに、社団法人日本農業集落排水協会の16年度以降の取り組みを織りまぜながら、これからの集排事業の推進にあたって求められる対策の方向性を探った。