元素間融合を基軸とする物質開発と応用展開

摘要

合金とは，純粋な単一の金属元素に対して，複数の元素から構成され，そのうち少なくともーつの元素が金属元素から構成される物質のことを意味する。単純に合金といつても様々な状態があり，原子同士が完全に混じりあった固溶体，構成元素がー定の割り合いで決まつた原子位置を占有する金属間化合物，微結晶レベルでは成分の金属がそれぞれ独立している共晶体，構成元素が混じり合わず完全に分離した相分離体などがある。この中で，構成元素が原子レベルで完全に混じりあった固溶体は，ある金属にほかの元素を徐々に添加していくことで，その電子状態を連続的に変化させることが可能であるため，機械的な強度，融点，電導性，磁性，といった物理的性質から，媒活性などの化学的性質まで連続的に調節することが可能である。