住民による森林管理とアグロフォレストリーの現状 －フィリピンの特用林産物市場－

摘要

筆者は2004年5月より2007年8月までの3年3か月，国際協力機構（JICA）と環境天然資源省（DENR）との技術協力で実施されているフィリピン国「地域住民による森林管理プログラム強化計画（CBFMP）」にアグロフォレストリー専門家として派遣された。プロジェクトでの活動を通して筆者の得た知見，フィリピンの特用林産物とアグロフォレストリーの現状を報告する。フィリピンは国土面積300，000km~2，日本から北海道を除いた程度の大きさで，約7，100の島々で形成される。2000年国勢調査時での人口は7，650万人であったか，2007年には8，870万人と推計され依然として急激な人口増加が続いている。1950年代には50％以上あったとされる森林率は，1960～70年代の木材輸出最盛期に行われた大規模な森林伐採や急激な人口増加による農地蘭発，焼畑耕作などにより，急激に減少した。2005年時での森林統計では71，680km~2と森林面積は23．9％と半減している。