いつまでも続く森林減少問題一森林の保護と荒廃地の修復－

摘要

FAOは，5年毎に，世界の森林資源の現状を評価し，森林の減少を警告してきた。最新の報告，2000年から2005年までの5年間の世界の森林資源評価（GlobalForest Resources Assessment2005）が2006年に公表された。これまでのFAOの報告を見ると91980年から20年以上9　主に熱帯林を中心として，毎年1，000万ha以上の大面積の森林が減少している。しかし，2006年の報告では，一見すると9森林減少が鈍化し9　2000年から2005年までの5年間には，森林減少が年間約730万haにまで低下しているように見える。その理由は，造林意欲の向上によって，造林面積が増加し，年間280万ha以上の植林がなされているためであると解説している。特に，中国では，ここ7～8年の間夕　毎年100万ha以上の造林をおこなっていて，東アジアの森林が増加する要因になっている。そのほか，先進国における森林の状況としてク　マージナルゾーン（耕地の限界域）における森林の増加や景観修復などによって，森林面積が増加している。これらの状況から，FA0は実際の森林面積の減少傾向は鈍化していると報告している。しかし，FAOの報告の内容を精査すると，熱帯林が人為によって変換されているのが明らかであり，南米9　アプリれ　アジアを含め9　年間1，290万ha以上の森林が他の土地利用に変換されていると記述している。中国を除くとぅ　アジアの　他の地域においては，依然として，毎年iOO万ha　近くの森林が減少していることが明らかである。