JR東日本におけるディジタルATCの技術

摘要

当社が導入を進めているディジタルATCは，京浜東北·山手線に導入予定のD-ATCと，東北·上越新幹線に一部導入したDS-ATCとがある．本稿では，DS-ATC車上装置を中心に述べ，一部D-ATCとの共通要素についても併せて紹介する．当社ディジタルATCの特徴は，「車上主体型ATC」である．ATC地上設備は車上装置に対して「現状在線している場所（軌道回路名）」と「防護を保証する（安全に走行できる）最遠方の場所（軌道回路名）」の情報を，ディジタル信号に乗せ，レールを媒体として送信する．車上装置は受信した情報を基に，内蔵した「車上データベース」から該当する情報を取り出して速度制御を行う．車上データベースには，「軌道回路配列及び各軌道回路の長さ（路線図に相当）」と，「各々の地点における許容（照査）速度」の情報が書き込まれているため，地上設備から送信された情報を基に車上装置が照査速度を選択し，速度制御を行うものである．本稿ではその他に，新幹線用ATC車上装置として初めて導入した「2マイコン構成×二重系」の原理を簡単に紹介しさらにこの車上主体型ATCを実用化するに当たって解決しなければならなかった問題，ATCシステムのあるべき姿に対する考え方，具体化に際して考慮した事柄のうち，代表的な事例などを紹介している．