新幹線はどこまで高速で走れるか～走行抵抗から見た限界速度の一考察

摘要

高速鉄道の世界では，欧州や中国においては350km/hや380km/hでの営業運転も現実のものになりつつある．しかし我が国では，東海道新幹線が開業して間もない時期（1970年）に，鉄レール·鉄車輪から成る新幹線方式（粘着方式）の鉄道での最高速度は300km/h程度が物理的限界であり，実営業運転速度（表定速度）としては250km/h程度が実用上の限界であるとの結論を下した．それ以上の高速を目指す輸送機関としては，粘着に頼らない新たな方式の鉄道を開発する必要があるとし，その結果，超電導磁気浮上式鉄道の開発に取り組むこととなり，今日に至っている．当時のこの結論はどのようにして導き出されたのか，そしてどこに誤りがあったのか，動力分散列車の走行抵抗の解析を通して，その誤りの実態を解説する．