電気鉄道の帰線と接地

摘要

電気鉄道は架空の電車線から電気車に電力をき電し，レールなどの帰線を用いて変電所に電力を戻している．レールはまくら木を通して大地に電気的に接続されているため，大地に電流が流れる．このため，直流電気鉄道では埋設金属体に電食が発生する．電食対策として，電気鉄道側で漏れ電流を小さくするとともに，埋設金属体では，金属に電流が流れにくくしたり，電気防食を行っている．交流電気鉄道ではレールからの漏れ電流により，通信誘導を発生する．このため，BTき電方式やATき電方式により，レールに電流が流れる区間を限定して，通信誘導を軽減している．一方，欧州では，安全上，レールの接触電圧の規格を設けている．土木構造物には埋設導体を配置し，金属部を接続した一体構造としている．交流電気鉄道ではレールをその導体に接続し，レール電位上昇を抑えている．