潅概システムの用水管理と有効雨量－低平地潅漑水田流域における事例調査－

摘要

潅漑期間中に水田ほ場に降雨があるとその一部は田面に貯留され，潅漑用水の節減に寄与する可能性がある。 この水田用水における有効雨量については多くの研究が行われてきたが，そのほとhどは討画用水量の算定もしくは算定に使われる指標値を求めることを目的としており，有効雨量の水量のみが着目されてきた。しかし，潅漑地区全体の用水量を節減するようにほ場への降雨を有効化するためには，ほ場のみならず潅漑システムにおける適切な用水管理が必要である。 降雨時の取水操作による用水管理を考えるときには，取水減少を始める時間，減少させる期間，用水節減中の用水流量等の節減される水量以外の要素もその構成要素になっている。 農業農村を取り巻く環境が変わっていく中で用水管理も変化していくと考えられるが，地区用水量を節減するようには場への降雨を有効化する用水管理についてはほとhど注目されてこなかった。また，農業用水路の流水に多面的機能の発揮が期待されており，降雨の有効化によって生じる生産機能と他の機能との調和も求められている。