樹木種子の発芽率を飛躍的に 向上させる選別技術の開発

摘要

森林の蓄積増大を背景に林業の成長産業化が謳われる中、これまで川下における需要の創出と、需要に応えるベく伐採と搬出の機械化技術革新が進hできました。また木材の利用は、持続可能な森林資源供給のための林齢構造の平準化、国産材の五〇％供給率目標、地域エネルギー供給のための木質バイォマスの利用により追い風ムードにあります。これらの施策が一定の効果を上げ始める一方、伐採後の更新、保育の省力化、低コスト化技術の開発は大きな遅れをとつています。第一義的に十分な苗木の供給が必要となりますが、生産，者の高齢化、これまでの販売数減少による廃業も相まって、十分な供給体制にあるとは言えませh。前述の木材の需要や林齢構造改革が進めば、最低でも現状の二倍の苗木供給量が必要となります。政府の進める地方創生の中で、若者が苗木生産業を魅力的に感じることができれば、地域の活性化に大きく貢献できるはずです。そういつた中での苗木生産技術として、コンテナ苗が注目されています。立地ゃ樹種によりますが、コンテナ苗は裸苗に比べて、活着率、通年植栽、劣悪な環境での耐性といつた点で優位性が認められます。しかし最も重要な点は、昇産者が集約的、省カ的にコンテナ苗を生産することができることです。ハウスの中で厳密にコントロ —ルされた環境であれば、降雨や日照などの自然環境に影響されず、草むしりや植え替え作業に伴う作業負担も大きく改善されると考えられます。一方でコンテナ苗はスぺ—スファクタ—の点から一粒播種による確実な発芽が重要となります。つまり一コンテナに撒いた一粒が確実に発芽しなければ、そのコンテナが使用不可になってしまいます。現状ではそれを避けるために、苗畑で発芽した小苗をコンテナに植え替えたり、またコンテナに複数播種して間引くなどの作業を行っています。こうした作業を数億本分おこなうコストは馬鹿になりませh。そこで私たちは、確実に発芽する種子を見分けることができないか、研究に着手しました。