膵神経内分泌腫瘍の外科的治療の問題点

摘要

2017年に膵神経内分泌腫瘍のWHO分類が改訂された。これに伴いこれまでは手術適応がないと考えられていた，いわゆる膵NECが膵NET G3と膵NEC (G3)に分類された。新分類の膵NET G3は従来の膵NET G1や膵NET G2に準じた手術適応としてよいと考えられる。これまで非機能性膵NETは大きさにかかわらず診断された時点で手術適応とされてきたが，偶然に発見された小さな非機能性膵NETのなかには，条件付きで経過観察の対象となるものが含まれると考えられるようになってきた。近年，膵NETに対する低侵襲手術が盛hに行われているが，術前登録制度によって評価されている段階であり，現時点では推奨を設定するには至っていない。肝転移を中心とする遠隔転移と転移再発に対する手術適応についてはェヒテンスが乏しいものの，減量手術やconversion therapyの概念は，膵NETの遠隔転移や転移再発の治療に適応できると考えられる。