総論 機能性表示食品の現状と課題

摘要

機能性表示食品（食品表示基準第2条第10項）は， 平成25年6月の規制改革実施計画及び日本再興戦略 に基づき，特定保健用食品及び栄養機能食品に続き， 保健機能食品"として平成27年4月に制度が施行さ れた。トクホと同様に食品の三次機能である体調調節 機能（生体の生理機能を調整する）を表示できる国民 の健康寿命延伸のためのツール，つまり，自分自身で 行うセルフケア。のツールの1つである。ただし，食 薬区分により食品には利用できない成分があり，ま た，健康の維持及び増進に資する保健の目的（疾病リ スクの低減にかかるものを除く）が期待できる旨の表 示のみであり，医薬品や一部の医薬部外品のように疾 病の治療や予防を標榜することはできない。また，消 費者庁長官の個別の許可を受けるトクホとは異なり， 事業者の責任で，科学的根拠に基づいた機能性を表示 した食品であり,販売前に安全性及び機能性の根拠情 報等を消費者庁長官に届出るものである。その届出内 容（品質，機能性及び安全性に関する情報）は，消費 者庁ウェブサイトにおいて公開されており，届出内 容として記載すべき事項は「機能性表示食品の届出 等に関するガイドライン」（平成27年3月，平成28年3月改訂）に定められている例えば，機能性に ついては，「①最終製品を用いた臨床試験の報告論文， 又は②最終製品又は機能性関与成分に関する研究レ ビュー〔表示しようとする機能性に見合ったリサーチ クエスチョンの設定をしたうえで，研究デザインやバ イアスを考慮しながら既存の論文を選定?評価するこ と=システマティックレビュー（SR)〕により科学的 根拠を示し，その内容を届け出ることになっている