生体イメージング解析が解き明かす真の腫瘍血管形成モデル

摘要

血管新生阻害療法という概念のもと，これまで腫瘍血管の形成メカニズムの解明が進められてきた。しかしながら，その成果として開発された血管新生阻害剤は，期待に反して画期的ながh治療法とならなかった。その原因となる治療抵抗性の獲得機構として，幾つかのモデルが提唱されているが未だ確定できてはいない。生体の腫瘍組織内で起きている現象を直接見て解析できれば——,このような研究者にとっての理想を近年の生体イメージング技術の発展は可能とさせてくれる。血管生物医学の基礎研究分野では，多光子顕微鏡による生体イメージング解析にて血管透過性や癌転移における新事実が次々と報告されている。腫瘍血管の形成過程についても，長時間生体イメージング系を用いることで全容が明らかになりつつある。さらに，血管新生阻害剤への治療抵抗性の検証も進みつつあり，第2世代の血管新生阻害剤に向けた動きが始まっている。