電気防食と被覆防食の現状と将来

摘要

情報技術や新素材の技術は目覚ましく進歩している一方で，電気防食や被覆防食の基本的な技術は10年前，いや30年前と比べても，あまり代わり映えがないように思える．これらの技術はそれだけ伝統と信頼のある技術とも言える．ただし，設計手法や防食評価の考察などの研究開発は数多く実施されてきた．その中でも鉄筋コンクリート構造物は新たな電気防食の対象として近年着実に実績をあげてきでいる．従来は，海洋環境に建設された鋼構造物，土壌中に埋設された鋼製の配管やタンクの外面，海水や淡水に接する熱交換器や除塵装置，配管内面，水門などに使用される主に鋼材が防食対象であった．本稿では，防食対象の環境別に電気防食と被覆防食の現状と将来について簡単に整理してみる．