低温食塩水中のAl-2mass％Zn合金溶射皮膜の腐食挙動と腐食速度

摘要

液化天然ガス（LNG）を気化するための熱交換器はアルミニウム合金の伝熱管で製造されており，海水による腐食から伝熱管を防ぐ方法はアルミニウム合金の伝熟管上にAl-Zn合金の溶射皮膜による犠牲陽極層を形成する手段である。しかし，凍結温度に近い海水に曝されている熱交換器の下部に腐食損傷が発生する場合がある．本研究の目的は低温状態の食塩水環境下における腐食挙動を調べること及び熱交換器の腐食損傷のモニタリング手法としての交流インピーダンス法の可能性を検討することである．低温環境下である253KにおいてもAl2mass％Zn溶射皮膜は腐食し，この温度での分極特性は混合支配に近づく．交流インピーダンスによって調べられた腐食速度は浸漬期間中変化せず，腐食質量減から求めた腐食速度と一致した．低温環境下でのアルミニウム合金の熱交換器の腐食速度は交流インピーダンス法を用いることによって測定が可能であることが分かった。