北海道におけるフェロモン卜ラップぉよび目視調査による スグリコスカシバの発生消長

摘要

フサスグリ（カシス.カーランツ）はスグリ科に属す る落葉低木で，果実がジャムやシロップなどの原料として利用される.平成25年産特産果樹生産動態等調査に よると，国内での栽培は青森県（11.1 ha)が最も多ぐ 岩手県(5.0ha),北海道(4.7ha)がこれに続く.北海 道内では.主に道北部の剣淵町.道東部の新得町.道央 部の余市町での栽培実績があり，これら以外にも各地で 直売商品としてのジャムや果汁など農産加工品の原科用 としての栽培が行われている.スグリコスカシバみ"-antheaon tipuliformisは.ブラックカーランツ，レツド カーランツの茎内を加害する害虫で，ヨーロッパから北 米，オーストラリアなど.世界中の広範な地域で発生や 加害が知られる.日本においては，2005年に北海道で 初めて発生が確認された（3).その後，青森県（7). 岩手県，長野県などで発生が確認されている.本種は若 い枝の表皮上に産卵し，幼虫は夏以降枝梢の髄部を潜孔 加害する.加害により内部が空洞化した被害枝は，強度が低下して冬期間に折損することが多い.また，被害枝から生じる新梢は発育が劣る（3).このように.本種 被害が多発したカーランツ株は.樹体の拡大が抑制され て果実収量が低下する.