テンサイ西部萎黄病の発生生態と発病抑制方法 1北海道東部における媒介虫の特定

摘要

冬期に気温の低い北海道東部において，テンサイ西部萎黄病の病原ウイ)レスBeet western ydhws virus を媒介する主要虫種はモモア力アブラムシであることを明らかにした.本種の生態を調査した結果，十勝 地方において無加温を含む冬期被覆ハウス内で胎斗:越冬していることと，自然条件下において秋期に雄成 虫が発生しないことが確認され，不完全生活環であることが明らかとなつた.また十勝地方で調査した結 果，栽培初期のテンサイほ場へはモモア力アブラムシ，マメクロアブラムシ，ジャガイモヒゲナガアブラ ムシの3種が飛来しており，ジャガイモヒゲナガアブラムシを室内でテンサイに寄生させた結果，継続的 な増殖は認められなかった.北海道東部でテンサイ两部萎黄病が多発生した要因は，主要な媒介虫である モモァカァブラムシがBWYV感染植物とト'1ーハウス内で越冬するため，早春にはすでに保毒媒介虫が存 在し，5月20日頃からテンサイほ場へ飛来してBWYVを感染させるためと考えられた.