わが国における遺伝子組換えイネの開発動向

摘要

1996年にアメリカを中心として本格的な商業生産が開始された遺伝子組換え作物（GM作物）の栽培面積は、その後、驚異的な伸びを示し、2000年には全世界で4，420万haに達した。 一方、消費者、環境保護団体などからは、GM作物がヒトと環境に及ぼす影響について数々の問題点が指摘されてきた。 このような状況下、2000年9月にアメリカで「スダーリンク事件」が発生した。 食用としては認可されていないGMトウモロコシが食品中から検出されたことに端を発した問題が、穀物の流通や国際貿易にまで波及し、わが国でも関係者が対応に追われた。また、2001年4月には、わが国においてGM作物に関する食品表示が施行され、食品業界では各社がGM作物を使用しない方針をアピールし始めた。 このような社会情勢の中、2001年におけるGM作物栽培面積の動向が注目されていた。2002年1月10日に発表されたISAAAの報告によると、2001年のGM作物栽培面積は、前年比19％の伸びを示し、5，260万haとなった。 これは、わが国の耕地面積の約13倍に相当する。 「スターリンク事件」がなければ、さらに増加したであろうと推測されている。 現在、本格的な商業生産が行われているGM作物は、ダイズ、トウモロコシ、ブタ、ナタネの4作物のみであるが、関連企業などを中心として遺伝子組換えイネ（GMイネ）の開発が急速に進hでいる。 近い将来、このGMイネの商業生産をめぐって、その是非が問われることが予想される。 今回は、わが国におけるGMイネの開発動向について、その概要を紹介する。