資源循環の一環としての環境保全型酪農の形成、展開条件に関する研究

摘要

ここでは、文部科学省科学研究費補助金（基盤研究C2）に採択された「資源循環の一環としての環境保全型酪農の形成、展開条件に関する研究」（平成14～15年度）の研究計画について紹介する。 先進国の農業、酪農は、肥料や農薬、そして大型機械、近代的な施設の導入により、いわゆる大規模化、高投入集約型酪農、畜産の方向で発展してきた。 しかし、高投入集約型酪農、畜産は生産性の増大をもたらしたが、とくに酪農においては乳牛の生産病の増加や農薬（抗生物質等）の残留など生産物の安全性が懸念されるようになり、生産者にも高品質の生産物を得るため高度の技術が要求されている。 このような先進国の代表と考えられる米国でも、低コスト化、省力化とともに環境保全を配慮した低投入持続型農業、酪農が提唱されている。 つまり、いま畜産、酪農にとって一重要な課題として、環境にやさしい畜産、酪農をいかに成立させていくか、存続させていくかが鋭く問われている。 自然や地域のなかで環境に「負」の重荷を与えず、環境と調和のとれた、地域の自然循環機能の維持増進がはかられる酪農をいかに形成していくか、いかに地域のなかで共存できるかを追求するこどである。 その場合の研究のアプローチとしては、個別資源循環型酪農経営の生産、技術面を中心に検討する必要がある。 そこでは、家畜のふh尿等の副産物を適正に排出させ、環境問題を引き起こさない酪農、農業の生産規模や技術的な諸条件を検討し、そこから地域に共生できうる持続的、環境保全型酪農、農業の成立、展開条件、とくに経営主体の形成条件を明確化することが重要であると考える。