玉川学園カナダ, ナナイモ校地におけるメロン栽培法の検討: 循環式養液栽培における多果着果栽培の試み

摘要

玉川学園カナダ,ナナイモ校地において，日本で育成されたメロン‘キングメループの循環式養液栽培を行い，単位面積あたりの収量をあげるために立ち栽培による株あたり多果取り栽培の可能性について検討を行った. 2000年には1株あたり1果取り区（1本整枝1個着果），2果取り区（2整枝2個着果)，4果取り区（2本整枝4個着果), 2002年には2果取り区（2本整枝2個着），3果取り区（2本整枝3来着果）4果取り区（2本整枝4個着果）の区を設け，果実収，品質について比較を行った. その結果，以下のことが明らかとなった. 1: 親づるを伸長させるより子づるを伸長させるほう，最終的な草丈は大きく，生育後期の草丈の伸長が旺盛であった. 2: 栗東は2000年の2栄取り区が最も大きかったが，そのの区と2002年のいずれの区においても1．2kg以上の果実が得られ，着果個数を4果で増やしても果重に大きな影響はなかった. 3: 糖度は2000年の4果取り区で13.5と低くかったが，その他の区と2002年いずれの区においても14以上で，着果個数を4果まで増やしても糖度に大きな影響なかった. 4: 果肉厚，果実の大きさ（縦径，横径），形（果形指数），ネットの外には着果個数の相違による明らかな影響は認めらず, 4果取り区が他の区に比べて質的に劣ることはなかった. 以上のことから，ナナイモ校地におけるメロンのハウ栽培において，本実験で用いた栽培方法の1株あたり4架取りを行うことによって，果実質を低下させることなく単位面積あたりの量を高められることが示された．