鋼とコンクリートの出会いが合成床版の開発に結実

摘要

私は入社以来工事部に出向した時期を除いて技術部に所属し、殆どの期間を鋼橋の設計者として仕事をしてきました。研究者としての肩書きを持ったことのない私ですが、たまたま実務上の必要性から鋼板·コンクリート合成床版に携わる機会を与えられ、これをテーマとして2009（平成21）年9月に博士（工学）の学位を取得することができました。その経緯とこれからの課題等について記してみたいと思います。私の学位論文のテーマとした鋼板·コンクリート合成床版は、そのプロトタイプである合成鋼床版合成桁を一般的な鋼橋に対応できるように発展させたものです。開発に着手した当初、すでに受注した橋梁にこの合成床版を通用するという必達目標があったため、性能確認実験と詳細設計を並行作業で進めなければならず、構造実験棟で実験を行いながらその結果を製作図面に反映していたことが懐かしい思い出です。また、学生時代から一貫して鋼橋を中心とした鋼構造を専門としてきた私にとって、もうひとつの専門分野となるコンクリートとの出会いになりました。