火花点火機関のクレビスへの進入火炎が誘発する自己着火によるノック発生に関する研究－定容燃焼容器にクレビスを模擬した円管を用いた実験とその計算モデル

摘要

クレビスノックの原因となる自己着火が生ずるのは未燃焼部の高温領域である．最も起こりうるのは，クレビス内への火炎進入によって生ずるエンドガス部であると考える．そこで本研究では，まず燃焼容器実験と計算モデルを通じて，クレビス内未燃焼混合気の温度が上昇し自己着火が起こり，ノック特有の圧力波が発生するかどうかを調べることを目指した．実際のエンジンで，対象としているクレビスはリング形状の流路になっているが，この研究の目的から図2に示す円形断面流路を採用した．この理由は，計算モデルによる評価のために必要となる，消炎，伝熱や流体摩擦の情報が整備されているためである．なお，クレビスは燃焼室につながる狭い空間のことであり，4種類存在する．リングクレビスは，その影響が最も高い．ここでは，以後単にクレビスと言えば，実験と計算に用いた円管のことを意味する．