循環型社会におけるマテリアル：マテリアルフローから見た循環型社会－1)産業連関分析を用いた製品マテリアル組成推定とMFAへの応用

摘要

ドイツPIOTでは既存の産業連関表と別に新たに物量表を作成する．これに対し，WIO-MFAでは既存の金額表示産業連関表情報を活用し，これを関心のある物質ごとの物量表に変換する．ドイツ政府が作成·公表している産業連関表が最大でも60部門と精度が劣るのに対し，日本には500部門水準の精緻かつ大規模な表が存在する．WIO-MFAは我が国が誇るこのデータ基盤の有効活用を念頭に置いている．既存のPIOTや総量MFAではフローの重量は得られるが，その物質組成は得られない．これに対し，WIO-MFAは製品質量を構成する個別投入物についての組成情報を与える．すなわち，従来のMFAがその同定に努めてきた「ある物質が何処にどのくらい存在するか」に加えて「どの様な形態で」または「何と一緒に」をも同定するのである．以下では，先ず，WIO-MFAの基本的考え方と理論構造を解説し，続いて量産金属についての応用結果を示し，最後に今後の展開方向を概観する．