石炭ボイラ内部の診断ツール「高温炉内監視カメラ」＜鮮明な映像で運転中の炉内をリアルタイムにモニタリング＞

摘要

石炭は埋蔵量が豊富で、先進国を中心に世界中に広く分布しているため、供給安定性が高く、経済性に優れた燃料である。 二度のオイルショックを経て、安価で豊富な海外炭が輸入されるようになり、現在、我が国の一次エネルギー供給の約18％を石炭が占め、今後も堅調な増加が見込まれている。 我が国は全世界の石炭貿易量の約30％を占める世界最大の石炭輸入国であり、オーストラリア、中国、インドネシア、カナダ、ロシアなどから100銘柄を超える多様な性状の石炭が輸入されている。 そのため、発電所や工場の石炭ボイラでは、使用する銘柄が頻繁に入れ替わるため、如何に低コストで安定的にボイラを運転するかが重要な課題となっている。 特に、燃焼灰が高温のボイラ内で溶融して壁面に付着する現象を「スラッギング」と呼ぶが、気付かないまま放置すると、バーナーを閉塞したり、巨大に成長した灰の塊が落下してボイラが緊急停止するといった大きなトラブルの原因になるため、炉内の灰付着状況には常に注意を払う必要がある。 また、近年では環境問題や工場の廃棄物対策の観点から、木質系バイオマスやプラスチック廃材、活性汚泥といった様々な燃料を石炭と混合燃焼する試みがなされており、バーナー付近を中心とした炉内の燃焼状態についてもリアルタイムで把握したいとのニーズは高い。 そこで弊社では、石炭ボイラをはじめとした各種ボイラ、加熱炉において、内部の状態をリアルタイムに鮮明な動画で監視できる「高温炉内監視カメラ」を開発し、販売を展開している。 本稿では、ボイラ内部の診断ツール「高温炉内監視カメラ」の特長、仕様と設置事例について紹介する。