米国の配当二重課税撤廃をどう読むか－ブッシュ政権の本当のねらい

摘要

米国経済の不透明感が増す中，ブッシュ大統領は新年早々に10年間で総額6,740億ドル（約80兆円）にのぼる大型の経済対策を発表した。 その中核となるのは，株式の配当に対する二重課税の全廃であり，こ和こよる減税の規模は10 年間で3,640億ドル（約43兆円）と，今回の対策全体の過半を占める。 配当の二重課税問題は，1970年代後半に民主党のカーター政権でも取り組まれたが，議会の反対で結局は実現しなかったといういわくつきの政策である。 今回も，事前の予想では何らかの軽減措置に留まるとみられていただけに，「全廃」の提案は大きな反響を呼んだ。 ブッシュ政権は，この提案が所得階層間の利害問題として取り上げられることを強くけん制しているが，皮肉なことに大統領自身が記者団を前にしてそのことに言及したため，発表以来「クラス·ウオーフェア（階級の戦い）」という表現の報道が目につくようになった。