家畜糞尿の新規利用プロセスの開発

摘要

北海道は農業が盛んであり，日本全国の約8％にあたる9,809億円の農業算出額を誇る。そのうちの50.8％を畜産が占め，とくに乳用牛の産出額は全国1位である。北海道では乳用牛が約860,000頭飼育されており，乳用牛から排出される糞尿は1年間で1,400万トンになる。これらは通常堆肥·液肥などの肥料として利用されているが，この内の3～4割は余剰分であり，有効な処理方法は見つかっていない。この余剰分は北海道内の畜産が盛んな地域に局所的に存在しており，降雨，融雪によって野積みされた糞尿から成分が流出することが問題となっている。現実に北海道では家畜糞尿による土壌·水質汚染と悪臭についての苦情が多く発生しており，環境に負荷をかけることなく家畜糞尿を処理·利用する新たな方法が求められている。