屋久島の再生可能エネルギーと循環型社会構築のための利用法

摘要

われわれが現在行っている研究は，平成13年度に文部科学省に採択された先導的研究等の推進「循環型社会システムの屋久島モデルの構築（中核機関：鹿児島大学，代表：鈴木基之）」の一部として開始されたものである。 プロジェクト全体の大きな特徴は，自然科学と人文・社会科学の総合である。 この特徴は，屋久島において循環型社会システムのモデルづくりと提言を，物質・エネルギー・経済と合意形成の4つを柱として実施するところに現れている。 われわれの役割は，エネルギー部門の一部を成す「屋久島における再生可能エネルギーポテンシャルの評価」と「そのポテンシャルを利用した循環型社会実現のための提言」である。 循環型社会構築のためには，再生可能エネルギーは，不可欠な要素である。 この舞台として選ばれた屋久島は，鹿児島市の南方130kmに位置する面積505km~2，人口14,000人の島である。 選ばれた理由は，屋久島が世界自然遺産に登録（1993年12月）されていることのみならず，島であるために，各種の収支がとり易いことがあげられる。ここでは，われわれが行った屋久島のエネルギー消費構造の調査・解析と再生可能エネルギーポテンシャルの評価を要約して紹介する。