摩擦緩和材 最近の動向

摘要

鉄道車両が急曲線区間を走行する際に，その車両の曲線通過性能に応じて発生する転向横圧が，輪軸および左右のレールに相当の負荷を及ぼす．この横圧は，車輪踏面と曲線内側レール（以下，「内軌」と表記する）走行面間の摩擦係数が大きい場合に増大し，曲線部で生じる様々な問題の直接的あるいは間接的な要因となっている．そこで，鉄道総研では車輪踏面と内軌走行面間に生じる大きな摩擦力を抑制して，著大横圧の発生を防止するための「摩擦緩和材」を開発するとともに，実用性の高い「車輪／レール摩擦緩和システム」の構築に取組んでいる．本稿では，2007年5月以降，摩擦緩和材を使用している「こどもの国線」での波状摩耗防止効果および騒音防止効果に関する追跡調査の途中経過と，営業線において2例日となる「宇治線」で，2008年12月に実施した効果確認試験の結果について紹介する．