漁船への風力発電機の導入に伴うエネルギー収支の推定

摘要

近年.船舶用燃料価格が高騰し，漁船漁業においても 経済的な負担が大幅に増加している。この対応策として. 燃料消費の削減に直結する省エネルギー装置の導入があ る。なかでも，従来の原動機駆動による発電以外に，再 生可能エネルギーによる発電装置の導入も検討されている。その一例として，風力発電機や太陽電池の船舶への 導入があり，発電電力や問題点を明らかにしている1.2)。 一方，風力発電機を船舶に設置すると.風力発電機のブ レードに揚力と抗力が同時に生じる。揚力は風力発電機を駆動するトルクになる力s,抗カは風力発電機を風下側 へ押す力となる。このとき，相対風向が船首から両舷90 度までの範囲では，船体の推進抵抗が増加し，主機出力を増加さる。それとは逆に，相対風向が船尾から両眩90 度までの範囲では.船体の推進抵抗が減少.主機出力を 低減できることが想像できる。したがって，船舶への風 力発電機の導入は，風力発電機の発電電力，主機出力の 増加分を含めたエネルギー収支を考慮する必要があるが,これらの事象を明らかにした報告は見られない。