魚類分布の定量的表現による魚礁の効果範囲の推定と考察

摘要

魚礁および魚礁周辺での魚類の分布は魚種によって異なり，また魚礁の規模や形状によっても異なると言われている。魚類の分布状況は，魚礁設置事業における効果範囲設定の目安とされ，単位魚礁または魚礁単体の配置間隔の基準となる。人工魚礁周辺における蠣集魚群の分布については小川や柿元，横山が魚礁からの距離別漁獲試験の結果などから魚種による分布の違いを概略的に示している。しかし，人工魚礁設置による漁場の対象魚種に対する機能分化や造成漁場に対する漁獲努力と漁獲の関係を予測するためには，魚礁における魚類の蠣集状況や分布の範囲を定量的に検討する必要があると考えられる。峰、山内らは魚礁における魚類蠣集量を推定する過程で魚礁からの距離と分布の関係を対数正規分布曲線に近似させることを提案している。