「大学での教育，研究」雑感

摘要

私はこれまで，助手.助教授.教授とそれぞれ異なる大学に職を得て過ごしてきた。また，この6年間ほどは大学 のあり方.教育改革，研究倫理等について考えざるを得な い職務に関わってきた。そこで，巻頭言を依頼されたこの 機会に，一冊の本をとりあげ，大学，研究というものにつ いて振り返り，思うところを述べてみたい。はつきりといつと覚えているわけではないが，助手に なった前後に，「職業としての学問」（マックス.ウェーバー 著，尾高邦雄訳，岩波文庫）という本を読んだ。自分が大 学に残り，研究.教育を職業とするにあたって，何事か考 えるところがあつたのだと思う。あれから35年を経て，今 回，再度購入し読み返してみた。1980年の11月に改訳が出 ている。私は1980年4月から職についているので，当時読 んだものが旧訳か改訳版か微妙なところではある。