Symposium: 'The Leading Edge of Sensory Ecology'印象言己

摘要

日本比較生理生化学会第34回大会において，7月8日に 開催され7こ「Symposium: The Leading Edge of Sensory EcologyJに参加しました。最初はGonzalez-Bellido博士によるkiller flyとショウ ジヨウバエの視覚機能の違いについての講演でした。Killer fly (メスグロハナレメイエバエ）は主に欧州や東南アジアで 見られるハエですが，ショウジヨウバエ等の獲物を空中で 捕捉する一風変わったハエです。実際にハエを捕まえる動 画を見ると，killer flyがほぼ同じ体格のハエを捕らえる様 子はとても印象的でした。飛んでいる物体を正確に認識す ることから，killer flyの視覚は高い空間分解能と時間分解 能を持つと考えられます。一方ショウジヨウバエは，大き くゆっくりと動く物体しか認識できません。このような視 覚機能の違いを生み出す原因を明らかにするため，killer flyとシヨウジョゥバエの眼の比較を行ったところ.killer flyの方が個眼間角度が小さく ，一つ一つの個眼の視野が狭 いことがわかりました。また，killer flyの感桿分体は今ま で知られている昆虫の中で一番小さいことも明らかになり ました。これらの形態の違いが，ショウジヨウバエと比べ て3倍も高い空間分解能を生み出しているようです。また， 時間分解能についてもkiller flyの方が高いことが示されま した。ショウジョゥバエは高い光感受性を持つことに対し， Killer flyは高い空間分解能と時間分解能を持つようになつ たようです。昆虫は脊椎動物などと比べ世代交代のスパン が短いため，差異が生まれやすいのだと思いますが，同じ ハエでもこのように視覚機能が環境に適応するため異なつ た進化を遂げていることはとても興味深いと感じました。