モンゴル国草原の植生と採食嗜好性

摘要

Ulaanbaatar（ウランバートル）市を起点とした調査地域における植物種は39科122属207種であった。優占種はキク科，イ礻科，バラ科，アカザ科であった。採草地では多様な植生が認められた北西地域では12科21種の種額が観察された。放牧地では，9科16種の多様な例やィネ科とキク科に偏った2科11種の例など地域によって植生は異なっていた。放棄畑では，1科1種や2科3～4種から4科11種など放棄後の年数や年次により植生は変化していた。植物種は採食嗜好性いキク科やアカザ科が優占種であった。北西地域の放棄畑地においては，2004年の2科6種から2006年の8科14種に変化していたが。家畜放牧に適した草原植生には回復していなかった。北西地域草原の乾物草量（165.44±11.71g/m~2）は南西地域および南東地域に比べ有意に高く（P＜0.01～最も低い地域は南東地域（55.88±9.42g/m~2）であった。マメ科灌木の「ハルガナ」Caraganaphygmaea）を草資陳として考慮に入れた場合には，南西地域の草量は増加し，北西·北東·南西地域と南東地域間に有意差が認められた（p＜0.01～0.05）。年次間では，2002年の乾物草量（76.43±14.58g/m~2）が最低，年が最高（169.97±49.12g/m~2）となり，2003年および2004年と他の調査年との間には育意な差異が認められた（p＜0.01～0.05）。 採食喝好性は，イネ科の植物に対する嗜好性が高く，最高評点の5スコアの植物が7種類認められたipa glareosa，S.krylouii，Achnatherum splendens，Agropyron crisratum，Elytrigia repens，Leymusesis，Poa pratensis）。キク科ではヨモギの－種「アィギ」（Art,osoa fogoda）が全家畜で最高スコアであった。マメ科灌木の「ハルガナ」に対する家畜の採食唱好件はラクダ·ヤギ·ヒッジでは4スコアと高く．このマメ科灌木は南西地城における重要な飼料杭物資源であった。家畜の採食移動距離は年次や地城の草見状況により変動するカちウマ（夜間）は15.13m/分であった。草量の豊か地城では同じ場所を重複移動していたが．南西部（G地点）の草量の乏しい時（2002年）は重復移動が少なく平坦に移動していた。一方,ヤギの用合は昼間放牧であったが，採食移動距離は18.05m/分でウマより長かった。