第9章屋外?交通?スポーツ照明施設

摘要

日本の照明市場では，2011年の震災以降，急速にLED化が進んでいる．大光量を必要とする屋外施設においては，家庭やオフィスなどの屋内施設と比べると普及が遅れているが，各照明メーカーから屋外施設向けLED照明器具が登場してきたことにより積極的にLED化が進んできている．また，2013年10月に開かれた国連環境計画（UNEP）の外交会議において世界的な水銀規制を目指す「水銀に関する水俣条約」が採択され，高圧水銀ランプは水銀の封入量に関係なく2020年以降の製造?輸出入が禁止となる．日本国内の屋外施設では，いまだに水銀ランプが使用されている施設が数多くあり，今後は水銀レスなLED照明がますます加速されていく可能性が高い．交通施設では，道路市場，トンネル市場でLED化率が昨年に比べて10ポイント程度上昇し，2018年には90%を超えると予測されている．また鉄道市場では，各鉄道会社において電車内，地下空間，ホームなどの照明にLEDが導入され，省エネルギーだけではなく，光環境の質を向上させる試みも実施していると報告されている．スポーツ施設では，小中規模施設ではすべてLED照明にリニューアルされる施設が増えてきており，大規模施設では主照明にHID，保安照明に瞬時点灯が可能なLEDというように併用した施設が多くみられるとの報告がされている．街路施設では，LED化による節電の取り組みが継続実施されている．LED化は，消費電力の削減による節電効果を狙っているが，照明設備を更新するには莫大な初期投資が必要になるため，照明をリースという形で対応してところも増えてきていると報告されている．公園?広場施設では，明るさを確保するだけの照明ではなく，環境や用途，時間帯に合わせ調光，調色を行い，LEDならではの照明制御を行った価値を持った照明が増えてきているとの報告がされている．ライトアップでは，多くの歴史的建造物や東日本大震災の復興を願うライトアップが実施された年であった．主流はやはり LEDであり，LEDによるカラー演出などのバリエーションによって，さまざまなライトアップの手法に対応できるようになったとの報告がされている．電気サインでは，やはりLEDの普及が進んでいる状況である．その反面，LED化になることによって起こっている現状の問題点などをいくつかの例を挙げて述べられている．サイン市場では，特にいろいろなメーカーの製品が溢れかえっている中，今一度，製品の品質を追求すべき時期に来ているとの報告がされている．