東京の街あかり，ぶらり夜景探訪(1)下町のあかり

摘要

東京の下町って，どんなところだろうか？ 下町というと，中央区，江東区から隅田川近辺の上野や浅草のある台東区，隅田川をはさんだ墨田区あたりであろうか（図1）．今年の3月まで通っていた武蔵野美術大学の建築科では設計課題に下町エリアを対象にした課題があり，北千住あたりの出身の私には，幼いころからとても身近だった下町を建築という視点からあらためて考えるいい機会に恵まれた．まわりの友人たちは下町に対して，狭い路地とその路地を利周したコミュニティ形成というイメージを持っている．私には，人と人，家と家の距離が近いという印象を持っている．自転車がすれ違うのがやっとな路地，職と生活が密接な関係にある，たとえば，商売を営む家，自宅で工業製品を作ったり，もの作りを生業としたりする職業の人の家がぎゅうぎゅう隙間なく立ち並んでいるイメージがあった，そこには，普段着の人たちがいて，おじいちゃんおばあちゃんや子供たちもいて，家の外側に生活がほみ出して，その界隈全体がわきあいあいとしている，と．照明やあかりという面からは，祭のちょうちん，裸電球，路地に漏れる家のあかり．どれも人肌を感じるあたたかいものが思い浮かべられた．そんなイメージを膨らませ，下町を体験しにぶらりと街に出てみた．出かけたエリアは，祭が年中絶えず観光地にもなっている浅草，アメ横商店街のある上野?御徒町　 徳川慶喜公がまつられる谷中霊園もある谷中，他に，深川，月島である（図2）．