第8章屋内照明施設

摘要

国土交通省の建築物着工床面積の統計資料によれば，全建築物の着工床面積は14,767万m~2，前年比11.4%増で3年連続の増加となった．使途別の事務所は533万m2で前年比0.8%増であり，2年連続の増加となった．事務所?業務施設では，2014年4月に省エネルギー基準が新たなものに完全に移行され，照明におけるエネルギー基準も強化された．今後ますますの省エネが求められることとなるが，設計者は省エネのみを追求するのではなく，明るさ感指標や光の波長制御などを応用し，快適性も考慮して設計することが望まれる．展示館，多目的ホール，会議場，宗教建築分野では，アリーナで調光可能なLED器具を使用し，公式競技にも対応できる1,000 lxを確保している．また水族館でも高出力のLED器具の開発によってリニューアルが進んでいる．病院の病室では，24時間周期の生体リズム（サーカディアンリズム）と光の関係を照明制御に応用してLED照明の色温度や明るさを制御している．図書館でも，閲覧室でLED照明の特性を活用している．舞台，スタジオでは，引き続き設備内容の充実が計られ，多くの調光設備には制御系統に演出照明ネットワークへのインテリジェント化の機能が施されている．各所に制御信号コネクタやDMXが配備され，移動型調光器を接続して調光制御可能にしている．商業施設では，什器や，食品用冷蔵ショーケースの庫内照明にもLEDが普及し一般的となってきた．粒々感，ぎらつき，光の色ムラなどの課題が改善されてきたことで普及に繋がったといえる．宿泊?飲食?サービス分野のリゾートホテルでは，水や緑を照明する光でリゾートへの期待感を高めている．住宅分野では，LEDシーリングライトにおいて調光?調色の制御にスマートフォンのアプリを利用して制御ができるものや光色に特徴を持たせたものなど差別化されたものも出てきている．