循環器病の超早期診断

摘要

表題の「超早期診断」は，愛知県の「知の拠点」重点研究プロジェクトのーつ「超早期診断技術開発プロジェクト」において，プロジェクトリーダーの太田美智男先生（名古屋大学名誉教授，椙山女学園大学教授）から提示されたキーワードの1つである． 「知の拠点」重点研究プロジェクトは，愛知県が今後5年計画で推進する事業で，大学の研究成果をモノづくり産業の技術革新につなげるための産学共同研究開発プロジェクトである． プロジェクト全体は，平成21年7月に大学と協力企業から提案された10の研究計画の中から採択された3つの研究テーマから構成され（表 1), 「超早期診断技術開発プロジェクト」はそのP3にあたる． P3は，3つの研究グループとそのサブグループから構成されており（表2），著者はグループ1のサブグループ1 (GI-S1)の中で，ホルター心電図や脈派による循環器病の超早期診断を分担している． P3の目標は，高感度高解像度微量迅速計測センサの開発ならびに応用による脳循環器系疾患，癌，生活習慣病の診断機器の開発と非侵襲的24時間モニタリングによる健康管理システムの開発と実用化である． この目標は生体医工学の主要なミッションのひとつに一致しており，このプロジェクトは医工学共同研究のあり方を問うモデルになるものと考えている． その答えの中に，今後の生体医工学の発展の方向性をみることができるかも知れない．