C型慢性肝炎時から肝癌発生まで経過を追えたc型肝炎ウィルス ジエノタイプlbのコア蛋白アミノ酸多様性と肝癌発生との関連性

摘要

C型肝炎ウィルスによるC型慢性肝炎から肝癌発生にはウィルス側と宿主側の因子が関 与していると考えられる.ウィルス側の因子としてはコア蛋白70番目および91番目のァミノ 酸変異が報告されている.今回我々は，C型慢性肝炎時より肝癌発生まで平均7年以上経過を追 えた49例の症例と，同時代に経過観察が可能でかつ肝癌を発生しなかつた症例50例を対象に これらコア蛋白のアミノ酸多様性の違いを明らかにすると同時に，肝癌発生前後での多様性の 変化につき検討した.その結果，コア蛋白70番目のァミノ酸変異が肝癌発生に関与しているが， 91番目のアミノ酸は関与していないことが示唆された.また，肝癌発生群にて肝癌発生前後に おけるコア蛋白アミノ酸の多様性の変化は少なく，この領域は極めて保存性が高いと考えられ た.多変量解析ではコア蛋白70番目のアミノ酸Ginとccフエトプロテイン（AFP)値が有意に 肝癌と関連していた.