集合フェロモンシステム(APS)：集合フェロモンの機能をモデルとする実数値探索アルゴリズムの一構成法の提案

摘要

本論文では，昆虫などの集合フェロモン(Aggregation Pheromones)の機能をモデルとする実数値探索アルゴリズムとして，集合フェロモンシステムAPS (Aggregation Pheromone System)の一構成法の提案を行う［筒井04］．フェロモンは，昆虫などの生物が仲間と協調行動を行う際に，相互に情報交換する際に排出される化学物質である[Law 71]．ACOで使われているフェロモンのモデルは，アリの歩行経路に排出されるフェロモン軌跡であるが，フェロモンには，この他，仲間に餌の場所の通知，攻撃対象の通知，安全な場所の通知などに使われるものがある．これらは，集合フェロモン(Aggregation Pheromones)と呼ばれる[Lorenzo Figueiras 98]．本論文で提案する集合フェロモンシステムAPSは，この集合フェロモンの機能をモデルとし，実数値探索問題に適用することを目的としている．以下本稿では，第2章において，ACOを簡単に振り返る．第3章では，本論文の主題であるAPSについて詳しく述べ，第4章において代表的な実数値探索問題を用いて実験を行い，APSの性質を明らかにする．第5章では，4章で得られた結果の考察を行い，併せて今後の検討課題について述べる．最後に第6章において，本論文のまとめを行う．