水処理におけるインヒビターの現状と将来

摘要

創立40周年の企画であるここ10年の技術の進歩という期間は，水処理インヒビターの変化を考える上で長いか短いかということについて，インヒビター利用による寿命延長という視点では，ほんのワンステップではないかと考える．水処理の対象となる石油精製，石油化学工場のポイラ，熱交換器などは10年以内に繰り返し更新されるような設備ではなく，数十年使用されている機器も多々ある．このような条件のもとで，使用されているインヒビターは革新的なものが次々と開発されている状態ではなく，学会（当時は協会）の創立30周年記念特集で述べられている状況1）と大きく変化はしていないというのが実情である．前回の進歩の内容は（1）使用薬品の無公害化（2）高濃縮化であり現在も同じ方向で進んでいるが，その中でも最近の進歩の状況を述べてみたい．