ゲート設備の防食性能評価のための暴露実験

摘要

シェル構造ローラゲートの特徴を模した供試体（SUS304鋼製またはSUS316鋼製）を用いて河川環境下での暴露実験を行った。 その結果ゲート設備各部の特徴を模した箇所に発生する席食状態が調査できるとともに，ゲート設備の形状·加工などの特徴を考慮した暴露実験により防食性能を評価する方法が検討できた．シェル構造ローラゲートの特徴を模した供試体には，常時河川水中に位置する部位で，以下に示す腐食が発生した。 水密部のうち，水密ゴム端面から河川水が浸入した範囲にすきま腐食が発生する．ローラ部において，ローラと無給油軸受の接触面で脱亜鉛腐食が発生する．ローラ部において，皿ばねやローラ軸などの泥質堆積箇所に侵食が発生する．シェル構造内部などの泥質の堆積箇所に褐色の変色が発生する．両面溶接の未溶着部や片面溶接の非開先側にすきま腐食が発生する．鋼材の打痕後などを起点として侵食が発生する場合がある．その一方で，干滴帯に置かれた場合では，ほとんど腐食が発生しないことが示された．ゲート設備の特徴を考慮した供試体による暴露実験は，従来の短冊型試験片を用いた暴露実験の結果と併用することにより，ゲート設備の防食性能として，腐食減量を予想できる可能性が示された．また，腐食電位E_(corr)と水温の変化を連続測定することにより，微生物や藻類などによる腐食電位貴化への影響の有無を推定できた．