神奈川県におけるカワラバッタEusphingonotus japonicus （Saussure）の生息地の状況

摘要

神奈川県内の相模川および酒勾川のいくつかの河川敷において，カワラバッタの生息調査を行うとともに同県愛川町の集団について，その生息環境を調査した．過去に生息が確認された相模川の2地点では本種を発見することはできず，酒勾川の2地点で，教頭のみ発見された．愛川町海底の中津川河川敷の集団について，生息地の中州を3つの区画に分けて調査したところ，本種は，被植皮が小さく，砂礫の被覆度の大きい区画でのみ観察され，またこの区画にはトノサマバッタ，クルマバッタモドキが優占的に生息していた．本集団は県内でほ比較的大きな集団であるが，植生の変化と生息域の縮小により個体数は年々減少していると思われた．河川敷の砂礫地に特殊化しているカワラバッタの発生地数は，県内では大きく減少していることが推測された．