ナシ樹上におけるカプリダニ（Acari：Phytoseiidae）の生息場所に関する新しい知見およびトラップ（Cotton trap）によるカプリダニ捕獲調査

摘要

カプリダニ（Acari：Phytoseiidae）は作物を加害するハダニ頬の重要な天敵として知られ，生物的防除素材としても高い評価を得ている中気門類のダニである．そのため現在までに様々な研究が行われてきたが，野外条件下における生息場所に関しては不明な点が多い．一般にカプリダニの生息場所はハダニと一致するといわれる．またハダニとの関係以外ではカプリダニは寄主植物上の表面が毛深い葉を好むことが知られ（Rasmy and El－Banhawy, 1974）, この他葉上における生息場所や産卵場所としては, 葉脈沿い, 脈腋, domatia（Walterand O，Dowd，1992a），何らかの要因によってできた窪みなどが一部報告されている．これらの生息場所は寄主植物－ハダニーカプリダニの3栄養段階を通した生態系という面からも興味ある要素として挙げられている（Walterand O，Dowd，1992b）．