軽種雄馬の繁殖供用期間における子馬生産性の分析

摘要

軽種雄馬の繁殖能を分析するため、1965～2000年までの35年間に北海道日高管内で繋養され、延べ128，757頭の雌馬と交配に供用された延べ2，293頭のサラブレットおよびアラブ種雄馬の年齢、1繁殖季節の交配頭数（交配頭数）、これら雌鳥の産子率（種雄馬の生産率）、品種、出生地（産地）、繋養地および飼養者を調査した。供試馬の平均年齢は12．4±4．2歳、1繁殖季節の平均交配頭数は56．2±26．9頭で、平均生産率は70．6％となった。 これら3者問の相関性は、交配頭数と生産率との問に有意な相関が認められた。 供試種雄鳥の中から、交配供用年数が8年以上と1繁殖季節交配頭数が20頭以上の記録がある種雄馬59頭、延べ640頭（交配供用記録種雄馬）を抽出し、供用期間における生産率の推移、生産率の区分による詳細な繁殖能評価を行なった。その結果、生産率の推移は交配供用期間中60％以上を維持（79．6％）、一時的な低下がみられた（10．1％）、供用開始年は50％以下であったが、翌年から60％以上に上昇した（3．4％）、後半に低下がみられた（5．0％）、そして供用開始2年は70％以上であったが、その後低下した（1．9％）5つの型に区分された。 交配供用記録種雄馬の品種、産地、繋養地の間の生産率には有意差が認められた（p＜0．01）。 以上の結果から、繁殖季節があり、その間に自然交配のみ認められている軽種雄馬の繁殖能の特徴として、飼い主の設計した給与飼料、繁殖環境などが良好であれば、交配頭数が増加しても70％以上の生産率を維持し、また年齢20歳以上になっても高い生産率を維持することが明らかにされた。