プラタナスに寄生したプラタナスダンパイ（カメムシ亜目：グンバイムシ科）に対する2種薬剤の殺虫効果

摘要

2001年9月、愛知県名古屋市の港湾地域に栽植されているプラタナスに我が国未記録のプラタナスダンパイCorythucha ciliata（SAY）が寄生しているのを確認した。 また、その後の調査で本種が東京、横浜、松山、北九州の各市にも発生していることが明らかになった（時広ら，2003）。 本種は、北米原産で近年ヨーロッパ、韓国、チリに分布を拡大しているプラタナスの重要害虫である（HALBERT and MEEKER，1998；PEICART，1982；CHUNG et al.，1996；PRADO，1990）。 主としてスズカケノキ科のアメリカスズカケノキ（Platanus occidentalis）及びPlatanuus spp.を寄主とするが、クワ科のBroussonetia papyrifera、クルミ科ペカン属のCarya ovata，ツツジ科ヤチッツジ属のChamaedaphne sp.，モクセイ科トネリコ属の加害も記録されている。 被害を受けた植物の葉は、本種成虫及び若虫の吸汁により葉緑素が消失して白い斑点を生じ、加害が激しい場合には白化または日焼け症状を呈し、落葉することもある（HALBERT and MEEKER，1998）。 さらに、本虫は、プラタナスを萎縮、枯死させる2種の糸状菌（Ceratocystis fimbriata，Apiognomonia（＝Gnomonia）veneta）のベクターとなる可能性も指摘されている（WULF and BUTIN，1987）。